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Wの悲劇-黒幕と結末のネタバレ

夏樹静子の原作小説「Wの悲劇」のあらすじと真犯人のネタバレを含んだ読書感想文です。


このページは『「Wの悲劇」のあらすと犯人のネタバレ』からの続きです。

このページには、夏樹静子の原作小説「Wの悲劇」のあらすじはネタバレが含まれています。真犯人や黒幕やストリーの結末を知りたく無い人は閲覧に語注ください。

■「Wの悲劇」は完全犯罪
さて、真犯人の和辻道彦が狡猾だったのは、犯人の身代わりにとなった和辻摩子(わつじ・まこ=22歳)が逮捕されても、和辻摩子が罪に問われないように計画を練った点である。

会長の和辻与兵衛(わつじ・よへえ=66歳)が和辻摩子を強姦しようとしたさい、和辻摩子が持っていたナイフが和辻与兵衛の胸を刺してしまった。和辻与兵衛が死んだのは自業自得の事故だった。

真犯人の和辻道彦は、このような筋書きを立てており、和辻摩子が逮捕されても、和辻摩子が罪に問われないように計算していた。

黒幕の和辻道彦が立てた計画は、和辻摩子が罪に問われないうえ、会長・和辻道彦の全財産を相続する完全犯罪だったのである。

■黒幕・和辻道彦の計画は完全犯罪だったのか?
小説「Wの悲劇」で黒幕の和辻道彦が行おうとしたのは、民法の第891条第2項(相続欠格)を使っての完全犯罪だった。

完全犯罪なのでスッキリを終わらせて欲しかったのだが、黒幕・和辻道彦の計画に少し疑問が残った。辻道彦の計画は、本当に完全犯罪なのだろうか。

黒幕の和辻道彦が考えた筋書きはこうだ。和辻摩子は会長の和辻与兵衛に強姦されそうになり、「強姦されるくらいなら自殺する」としてナイフを手に取った。それでもなお、和辻与兵衛が強姦しようとしたため、ナイフが和辻与兵衛の胸に突き刺さってしまった。

強姦しようとする和辻与兵衛に反撃するためにナイフを持ったのであれば正当防衛や過剰防衛に当たる。しかし、和辻摩子は自殺するためにナイフを手に取ったので、正当防衛や過剰防衛にも当たらない。

強姦しようとした和辻与兵衛が勝手にナイフに突き刺さったので、和辻摩子が罪に問われることはない、という理屈である。

非常に面白い理屈なのだが、和辻摩子が何の罪にも問われないのであれば、和辻与兵衛は事故死という扱いになるのではないか、という疑問が生まれる。

小説「Wの悲劇」のトリックのキモとなる民法の第891条の第2項(相続権の欠格事由)には、次のように書かれている。

「被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。」
民法の第891条第2項は、大審院の判例により、「犯罪が発覚するのを妨げ、又は遅延させたことに対する制裁である」と解釈されている。

もし、黒幕の和辻道彦が計画したとおり、真犯人の身代わりとなった和辻摩子が罪に問われないのであれば、和辻与兵衛は事故死扱いになり、犯罪自体が存在しないことになる。

被相続人の和辻与兵衛は殺害されたわけではなく、事故死として扱われるのであれば、民法の第891条の第2項(相続権の欠格事由)には該当しない。だから、法定相続人は誰も相続権を失わないのではないか。

実際、和辻道彦が事件の真犯人と分り、事件が解決した後の結末で、法廷相続人は相続権を取り戻している。

黒幕の和辻道彦が考えた相続計画は面白かったのだが、疑問点が残ったので、完全犯罪としての面白味に欠けた。完全犯罪にするのであれば、このような疑問は小説の中で論破しておいて欲しかった。

ただ、「逮捕された和辻摩子が罪に問われることはない」というのは、真犯人の和辻道彦が妻の和辻淑枝を説得するときに使用した理屈である。

真犯人の和辻道彦が本当は「遺産さえ手に入れられれば、逮捕された和辻摩子が罪に問われても良い」と考えていたのであれば、事情は変わってくる。しかし、その可能性は小さい。その根拠は小説「Wの悲劇」の結末にある。

■小説「Wの悲劇」の結末
新犯人・和辻道彦と犯人・和辻摩子の2人は、生さぬ仲だった。和辻摩子は妻・和辻淑枝の連れ子で、和辻道彦とは血が繋がっていない。

だから、「Wの悲劇」を読んでいると、「和辻道彦は、身代わりとした犯人に名乗り出た和辻摩子が罰せられても良いと思っていたのではないか」という考えが浮かんだ。しかし、結末を読んで、私はこの考えを否定した。

小説「Wの悲劇」の結末で、和辻道彦が予め事件を計画していたことが明らかになると、妻・和辻淑枝は夫・和辻道彦をナイフで刺して殺した。

和辻淑枝は、娘の和辻摩子も愛していたし、夫の和辻道彦も愛していた。この結末を読むと、和辻淑枝は娘と夫との間で心が揺れていいたことが分る。

和辻淑枝が最愛の娘・和辻摩子に殺人犯の身代わりを頼んだのは、最愛の夫・和辻道彦を助けるためだった。

和辻淑枝が和辻道彦から身代わりの依頼を引き受けたのは、「逮捕されても、和辻摩子が罪に問われることはない」という条件があったからである。この条件が無ければ、和辻淑枝は娘を犯人の身代わりにしなかっただろう。

真犯人の和辻道彦には相続権は無い。あくまでも相続するのは、妻の和辻淑枝である。万が一にも、真犯人の身代わりとなった和辻摩子が罪に問われるようなことがあれば、妻の和辻淑枝が黙っていないだろう。

妻の和辻淑枝がへそを曲げれば、相続権のない和辻道彦にはお金は一切入らない可能性が大きい。和辻道彦は、お金が目的で計画を立てたのだから、お金が入らないのでは計画を実行する意味が無い。

したがって、和辻道彦は「逮捕された和辻摩子が罪に問われても良い」とは考えておらず、身代わりとして逮捕される和辻摩子が無罪になるように計画していたはずである。

しかし、そうなると、先に述べた通り、和辻摩子が無罪になるのであれば、和辻与兵衛は事故死として扱われることとなり、法定相続人は相続権を失わないのではないか、という疑問に戻る。

■「Wの悲劇」はお薦め
夏樹静子の小説「Wの悲劇」は、大伯父の和辻与兵衛(66歳)が姪孫(てっそん)の和辻摩子(22歳)を強姦しようとして殺される、という強姦ネタで物語が始まった。

だから、「本当に本格ミステリーなのだろうか」と不安に思いながら読んでいたが、読み終えると、「なるほど」と思わされた。

死体の鼻から医療用チューブを挿入してグラタンを流し込み、死亡推定時刻を偽装するトリックなど、犯人側の視点でネタバレしながら話しが進むため、もったいない部分も多いが、読み終えると十分に満足出来る内容だった。

もう1度読み返してみると、真犯人の身代わりとなる女子大生の和辻摩子は、確かに演劇部だった。あれは全て演技だったのか。和辻摩子は演技でみんなを騙したのだから、大女優になっているに違いない。

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